「ミスター・プロレス」武藤敬司をして、対戦後に「『ミスター・プロレス』は、あのオッサンに譲るよ」といわしめた天龍源一郎。たしか当時53歳だったと思うのだが、なんともスゴいオッサンである。
物静かで怖くて不器用なイメージのある天龍だが、細かく過去をチェックしてみると、シャレのわかるナイスなおじさんだということがわかる。
話題作りとはいえ(一応)女子レスラーの神取忍と対戦したかと思えば、覆面レスラーのハヤブサの兄としてマスクを被ったりもした。「頭隠して尻隠さず」ではないが、あの独特のゴツゴツした体でパワーボムなんかして、正体バレバレなのには笑った。
そして最近、新日本の若手エース・中邑真輔と対戦した時は、「世界一ずるがしこい男」リック・フレアーの「オー・ノー!」ポーズまでやってのけた。ひざまづいて両手を前に出して相手に命乞いする、あのポーズだ。フレアーのように、それで相手を油断させ、目潰ししたかは確認していないが。
「恥も外聞も無く」というのは見当違いで、そんな奥深さがあるのが天龍源一郎なのである。